妻の呼吸音で、夜中に目が覚めました。
「ふー……ふー……」
陣痛が来るたびに、ゆっくり息を吐いています。その音を聞きながら、僕はすぐに隣に座り、背中に手を当てました。
力抜いて。目を開けて。息吐いてー、ふー。
声をかけながら、背中を押し続けました。
正直、出産までがこんなに長丁場になるとは思っていませんでした。でも、分娩室に入ってからはあっという間でした。慌てなかったのは、事前に勉強していたからです。
これは、初めての立会い出産で僕が体験したことの全記録です。陣痛の仕組みや事前知識についてはこちらの記事にまとめています。
- 立会い出産を目前に控えているパパ
- 当日実際に何が起きるのか、具体的なイメージが欲しい方
- 事前の勉強が本番でどう役立つのか知りたい方
当日の記録——実録タイムライン
前日夜〜当日朝
- 深夜:前駆陣痛が続く
- 6時ごろ:おしるし
- 7〜7時半:陣痛が40秒・3〜4分間隔に
- 7時45分:お風呂
- 8時15分:病院に電話
- 9時10分:病院へ
「子宮口がまだ開いていません。一度帰宅してください」
- 10時30分:スーパーとドラッグストアに寄って帰宅
- 11時ごろ:昼食(買い物したかぼちゃのコロッケなど)
- 11時30分ごろ:妻がお昼寝(異常に眠かったとのこと。出産に向けて体力を回復しようとしていたのかもしれない)
- 17時台:もともと予定していた家具屋さんへ出かけようとしたところで痛みが強くなり中止
- 19時ごろ:急いで夕飯
- 20時ごろ:お風呂
- 21時ごろ:就寝
- 23時ごろ:妻の呼吸音で目が覚める
- 0時45分:病院へ再出発
- 1時20分:待合室へ
- 1時30分ごろ:分娩室へ。分娩着に着替えた直後に破水
- 到着時7cmだった子宮口が、一気に10cmに
——そこから30分で、産声が聞こえました。
一度、家に帰された
朝から陣痛は来ていました。病院から「5分間隔になったら連絡して」と言われていたので、連絡すると「来てください」と言われました。でも、診てもらうと「子宮口がまだ開いていないので帰宅を」と告げられました。
やっぱりそうですよね……。
まだ前駆陣痛なのかもしれない。出産は後日になるかもしれない。そう思いながら帰りました。
初産婦の場合、子宮口が5cmくらいまで開くのが一番時間がかかる時期です。陣痛が来ていても入院できないケースは珍しくありません。これは異常ではなく、普通の経過です。知識があったから、帰宅を告げられても焦らずにいられました。
帰宅してから、夫にできることをやった
帰宅してまず考えたのは、妻に体力をつけさせることでした。
出産にはカロリーが必要です。子宮は筋肉なので、エネルギーが切れると陣痛が弱くなる。これも事前に学んでいました。
一緒に買い物に出かけました。散歩も兼ねて、歩いた方がいいとも聞いていました。
パイナップルって、本陣痛が来るジンクスがあるらしいよ。
言われるままパイナップルも買いました。妻が食べたがっていたかぼちゃのコロッケ、メロンパン、焼き芋——食べたいものを買い集めて、11時ごろ昼食にしました。
昼食のあと、妻は「なんだか異常に眠くて」と言って、11時30分ごろからお昼寝をしました。今思えば、出産に向けて体力を回復しようとしていたのかもしれません。その後は寝たり起きたりしながら過ごし、陣痛は一日中来ていましたが、痛みがないときは普段通り元気でした。まだ予定日には少し早く、前駆陣痛かもと話していたので、「それなら本陣痛が来るように歩いた方がいい」と、夕方は散歩がてらもともと予定していた家具屋さんに行こうかと話していたくらいです。
ところが夕方、急に予定を変えることになりました。妻の痛みが一段階上がったのです。急いで夕飯にトンテキを作りました。お肉もジンクスだと聞いていたし、何より力がつくものを食べてもらいたかったからです。
妻は陣痛が来るたびに、ゆっくり息を吐いて痛みを逃していました。痛みがないときは普段通りの元気さなのに、痛みが来ると余裕がなくなる。夕方から、この繰り返しが強くなっていきました。
食後はお風呂に入ってもらい、お風呂から出てからは腰を押し続けました。
腰のさすり方・押し方——事前に練習しておいてよかった
腰をさすると言っても、ウエスト部分をさするのはあまり効果的ではありません。正しい位置は、尾骨の少し上、お尻の上あたりです。
さすり方は、手の付け根をしっかり当てて圧をかけます。優しくサワサワするだけでは足りません。
ただし、「正解」は人によって違います。妻の場合は、さするより押す方が楽でした。最終的には「押す」一択になっていました。
妊娠中、2人で助産師さんの動画を見ながら練習しておくことを強くすすめます(おすすめの動画はこちらの記事で紹介しています)。「ここかな」「このくらいの強さかな」——事前にそうやって場所と感覚を確かめ合っておくだけでも、当日の動きが変わります。ただ、実際どのくらいの強さがいいか、さする方がいいか押す方がいいかは、本物の陣痛が来てみないと分からない部分もありました。陣痛が始まってからも「強さはどう?」と声をかけながら都度調整しました。
また、タイミングも大事です。陣痛は「痛い時間」と「お休みの時間」を繰り返します。押すのは痛い時だけ。お休みの時間は手を止めて、一緒にリラックスする。これを意識するだけで、夫の体力も長持ちします。
夜、呼吸音で目が覚めた
21時ごろ、2人で少し寝ようとなりました。
23時ごろ、隣から聞こえる呼吸音で目が覚めました。
声をかけながら、体の力を抜くように伝え、一緒に呼吸しました。陣痛が引いたら、手を止めて休む。それを繰り返しました。
変わってあげられないのが、もどかしい。
奥さんのそばにいたいのに、何もできないもどかしさだけが残った時間でした。でも、隣にいて、同じ呼吸をしながら、背中を押すことだけはできました。
病院へ。控室でのもどかしさ
0時45分、妻が「そろそろかな」と言ったタイミングで病院へ向かいました。
病院に着くと、助産師さんに荷物を渡し、妻をお願いする形になりました。僕は車に戻るよう言われ、1時20分ごろ控室へ。妻の状態を知らされないまま待つ時間、また同じもどかしさに包まれました。
1時30分ごろ、分娩室に呼ばれました。妻は分娩着に着替えた直後に破水していました。子宮口は到着時の7cmから一気に10cmになっていました。
いきみのタイミングで、背中を丸めるよう頭を支えました。「ふー」と一緒に呼吸しました。飲み物を口元に当てました。
いきむとき、背中を丸めて頭を起こしてあげるといきみやすいと事前に学んでいました。それがそのまま動きになりました。
頭を上げてもらったのが、すごく良かった。
勉強していなければ、やれていなかったと思います。妻は初産とは思えないほど上手で、15回ほどのいきみで赤ちゃんが生まれました。
産声が聞こえた
ほんとによく頑張ったね。
それだけ言えました。
バースプランに書いていた通り、赤ちゃんを服の上からお腹の上に乗せてもらい、家族3人で写真を撮りました。
抱っこした瞬間、小さくて、小刻みに息をしていて、温かかった。まだ現実感がなくて、夢みたいにふわふわしていました。愛おしかったです。
「この名前がいいかな」「家でちょっと耐えすぎたね」「ほんとにすごかったよ」
他愛もないことを、2時間話し続けました。
事前勉強が、当日を変えた
振り返って思うのは、「知っていたから慌てなかった」という一点に尽きます。
- 一度帰宅を告げられても、焦らずにいられた
- 食事とカロリーの大切さを知っていたから、帰宅後にすぐ動けた
- 腰の押し方を練習していたから、夜中に目が覚めた瞬間から手が動いた
- いきみのサポートを知っていたから、分娩室でも役に立てた
義母から「パパよろしくね」とLINEが来たとき、「お任せください!」と返せました。あの言葉は、勉強していなければ出てこなかったと思います。
奥さんを安心させてあげられるのは、隣にいる夫だけです。
知識の準備についてはこちらの記事にまとめています。これから立会い出産を控えているパパに、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。
まとめ
変わってあげることはできませんでした。でも、隣にいました。呼吸を合わせました。腰を押しました。頭を支えました。
それだけで、妻は「一人じゃなかった」と感じてくれたと思います。
これからパパになる方へ。立会い出産は「見ているだけ」じゃありません。勉強した分だけ、できることが増えます。
出産・入院にかかった費用の詳しい内訳は、出産育児一時金だけで足りる?自己負担319,570円のリアルにまとめています。
同じ妊娠期の記録として、32週で逆子が戻った日の話も書いています。
※本記事は個人の体験談であり、医療的なアドバイスではありません。出産の経過には個人差があります。体調に不安がある場合は産婦人科にご相談ください。