「投資って難しそう」「失敗したらどうしよう」——そう思って、長い間ためらっていました。
会計の仕事をしているので、感覚ではなく数字で裏が取れないと信じられないタイプです。日常業務でも、増減分析や会計処理の判断、監査法人・投資家への説明では、数字の根拠が問われます。未来の見通しも、過去データの積み上げから作るのが基本です。そういう癖がついているので、「なんとなく上がりそう」という理由では、自分の資産を動かせませんでした。
でも、インデックス投資を調べていくうちに考えが変わりました。データがある。仕組みが明快。そして実績がある。この3点が揃って、ようやく「これなら始められる」と思えたんです。
- 投資を始めたいけど怖くて踏み出せない方
- インデックスとアクティブの違いが分からない方
- 難しい知識なしに再現性のある投資をしたい方
インデックス投資とは
インデックス投資とは、株価指数(インデックス)に連動する投資信託を買う投資方法です。
「日経平均」や「S&P500」など、市場全体の動きを表す指数を聞いたことがあると思います。インデックス投資は、その指数と同じ動きをするように設計されたファンド(投資信託)を買うだけ。個別の株を選ぶ必要がありません。
たとえば「全世界株式インデックスファンド(通称:オルカン)」を買えば、世界47カ国・約2,900社に一括投資したのと同じ効果が得られます(※三菱UFJアセットマネジメント公式サイト参照。国数・銘柄数は変動します)。月1,000円からでも始められます。
「市場全体を買う」イメージです。1社を選ぶのではなく、市場のすべてを少しずつ持つ感覚。
それって、特定の会社が倒産しても大丈夫なの?
そう、それがインデックスの強みのひとつ。何千社にも分散されているから、1社や2社がダメになっても大きな影響にならないんだ。
プロのアクティブファンドの約7割がインデックスに勝てない
「プロが運用するアクティブファンドの方がよくない?」と思うかもしれません。
結論から言うと、長期ではプロのアクティブファンドの約7割がインデックス(市場平均)に負けています。これは感覚的な話ではなく、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが毎年公表している「SPIVA」というデータで繰り返し確認されています(記事末の参考資料にリンクがあります)。
なぜプロが負けるのか。理由のひとつは手数料です。
| ファンドタイプ | 信託報酬(年率)の目安 |
|---|---|
| インデックスファンド(オルカンなど) | 0.05〜0.2%程度 |
| アクティブファンド | 1〜2%程度 |
実際に投資信託の目論見書を読んだとき、会計職として真っ先に目がいったのは、この手数料の内訳でした。eMAXIS Slim 全世界株式の信託報酬は年率0.05775%。イメージとしては、100万円を1年間預けても年間の手数料は600円程度という水準です。保険や他の金融商品と比べての安さに、率直に驚きました。
もうひとつ引っかかったのが税金の項目です。会社の決算でも、税金費用は利益の3割ほどを占めることがあり、研究開発費や賃上げ税制といった節税策の重要性を日々の仕事で実感しています。だからこそ、NISAの「利益が非課税になる」というメリットの大きさが、数字の感覚として腹落ちしました。
この差は一見小さく見えますが、複利で何十年も積み上がると大きな差になります。
たとえば100万円を30年間、年率5%で運用した場合を比較します。
| 条件 | 30年後の資産額(概算) |
|---|---|
| 手数料0.1%(インデックス想定) | 約420万円 |
| 手数料1.5%(アクティブ想定) | 約280万円 |
手数料の差だけで約140万円も変わってきます。
さらに、これを毎月の積み立てに置き換えると、差はもっと大きくなります。月10万円を30年間積み立てた場合、信託報酬が1%違うだけで、30年後の資産額は次のように変わります(運用利回り年5%を前提とした試算※)。
| 条件 | 30年後の資産額(概算) |
|---|---|
| 信託報酬0.1%(インデックス想定) | 約8,010万円 |
| 信託報酬1.1%(アクティブ想定・1%差) | 約6,750万円 |
手数料1%の差だけで、約1,260万円もの開きになります。会計的に見ると、手数料は「毎年かかるコスト」として複利の力で雪だるま式に膨らむのです。
インデックスの魅力4つ
① 少額から始められる
多くの証券会社で月100円〜積み立てられます。NISAのつみたて投資枠を使えば、年間120万円まで投資でき、その運用益が非課税になります。我が家は今でこそ年間上限まで積み立てていますが、月100円でも仕組みは同じです。金額はあとからいくらでも変えられます。
実際に僕がオルカンの積立を始めたときは、月5万円からのスタートでした。現金はそれなりにあったのですが、投資に慣れていなかった分、まだリスク許容度が低かったのだと思います。
その後「早めに現金を市場に移すべきだ」と考え直し、翌月15万円、翌々月30万円と段階的に増やしていきました。月30万円はちょうどNISAの年間枠(360万円)を使い切るペースなので、今年はこのまま積み立てて、それ以上は特定口座でもオルカンを買い増すべきか検討しているところです。
制度としては月100円からでも始められますが、実際にいくらから始めるかは、そのときの自分のリスク許容度に合わせて決めればいいと思っています。
② 自動で分散できる
世界中の株式に自動で分散投資。自分で「どの国を何割買うか」を考える必要がありません。特定の国が暴落しても、他の国が支える設計になっています。
実はインデックス投資を始める前、SBI証券で個別の高配当株を買っていた時期があります。知人にすすめられるまま、自分でろくに調べずに買った日産株は、今も含み損を抱えたまま整理できずにいます。
「なんとなく良さそう」で1社に賭けた結果がこれ。分散していれば、1社の業績が傾いても資産全体はそこまで揺れなかったはずなんです。
自分で調べずに人のすすめだけで動いたことへの反省と、分散の大切さを身をもって学んだ経験です。
③ 専門知識が要らない
企業の決算書を読む必要も、経済ニュースを毎日追う必要もありません。「買い続ける」だけです。会計の知識がある自分でも、個別株の銘柄分析にわざわざ時間を使う必要がない点は、合理的だと感じています。
正直、会計職としてのスキルを使えば「個別株の決算書を自分で分析して選べば、もっと利益を出せるのでは」と考えたこともあります。
迷ったこともあったけど、仕事と育児で忙しい毎日の中で、そこに時間を使う余裕はなかった。FIREを目指す目的自体が、教育資金や家族との時間を大切にするためだったから、道中もその優先順位を崩したくなかったんだ。
分析に時間をかけなくても安心して任せられるのがオルカンの良さで、最初に散々悩んだ末、オルカン一本に絞ることに決めました。
④ 時間を取られない
設定したら、あとは自動で積み立てが続きます。ただ、僕の場合は最初の設定でいくつかつまずきました。
NISA口座の開設が完了してから積立設定をしたのですが、クレジットカード決済の申込が間に合わず、その年の1月分の枠を使い切れませんでした。そこで使ったのが「つみたて投資枠使い切り設定」(証券口座引落のみ対応の機能)です。既存の積立に上乗せして、年間枠をきっちり使い切れるよう調整しました。
引落日も、クレカ決済は毎月12日で固定でしたが、証券口座引落と電子マネー決済は1日〜28日から自由に選べると知り、管理をシンプルにするため全部12日に揃えました。
商品選びでも少し悩みました。投資信託の保有残高に応じて楽天ポイントがつく「楽天・プラス・オールカントリー」と、実績のあるeMAXIS Slim 全世界株式で迷いましたが、ポイントの規模は微々たるもので、実績と純資産総額の大きさ(安心感)を優先してeMAXIS Slimにしました(商品選びの詳細な比較はオルカンを選んだ理由にまとめています)。
自動化の設定自体は一度きりですが、「一度きり」の中にもこれくらいの試行錯誤がありました。忙しい毎日の中で、最初だけ少し踏ん張る。それだけで、あとは仕組みが淡々と積み立て続けてくれます。10年後、20年後の自分や家族が「あのとき始めておいてよかった」と思えるように——今日も一つずつ、頑張っていきましょう。
インデックス投資の弱点も知っておく
数字で腹落ちして始めた僕でも、「ここは割り切りが必要だ」と思った点が3つあります。
- 市場平均より上は狙えない。市場全体を買う以上、リターンは市場平均そのもの。短期間で大きく増やす投資ではありません
- 暴落からは逃げられない。何千社に分散していても、株式市場全体が下がる局面では一緒に下がります。分散が守ってくれるのは「特定の会社や国の失敗」であって、「市場全体の下落」ではありません
- 成果が出るまで時間がかかる。複利が効いてくるのは10年単位の話です。数ヶ月で結果を求めると続きません
この3つは弱点というより、「市場平均をそのまま受け取る代わりに、市場と一緒に上下する」という仕様だと理解して、僕は割り切りました。
失敗しないために
インデックス投資でよくある失敗は、暴落時に積み立てをやめてしまうことです。
暴落は必ず起きます。2020年のコロナショック、2022年の急落——どちらも一時的に大きく下がりました。それでも過去の実績では、全世界株式インデックスを20年以上積み立てた場合にマイナスリターンで終わったケースはほぼありません(※myINDEX「過去20年の投資結果」参照。将来の成果を保証するものではありません)。
続けるために大事なことが2つあります。
リスク許容度を確認する。全財産を突っ込まず、「暴落しても生活に困らない余裕資金」だけ投資する。これが精神的な安定につながります。
時間を分散する(ドルコスト平均法)。毎月一定額を買い続けることで、高い時は少なく、安い時は多く買えます。タイミングを読まなくていい投資法です。
暴落したときって、ちゃんと続けられるかな。怖くてやめちゃいそう。
そのために「生活費とは別のお金」で始めることが大事。下がっても生活に影響しないなら、むしろ安く買えるチャンスだと思えるようになってくるよ。
まとめ
インデックス投資は、「市場全体を買う」シンプルな投資です。
会計職として数字の裏どりを習慣にしてきた立場から、インデックス投資に腹落ちした根拠は3つあります。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| データ | プロの約7割が長期でインデックスに勝てないという実績(SPIVA) |
| 仕組み | 時価総額加重で自動調整され、判断コストがかからない設計 |
| コスト | 手数料が複利で効き、30年で約1,260万円の差になる(月10万円・年5%の試算) |
「なんとなく良さそう」ではなく、この3点が数字で確認できたから始められました。続けることが最大の武器です。
まずは「月100円のオルカン積立」を1本、設定してみてください。
金額はいつでも変えられます。設定画面を一度見ることが、どんな解説記事より早い勉強になります。証券口座がまだの方は、楽天証券かSBI証券かの選び方からどうぞ。
次は「では具体的に何を買えばいいのか」をまとめた記事があります。
参考資料
- S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA日本スコアカード」(アクティブファンドの過半が長期で指数に劣後するデータ)
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(投資対象の国数・銘柄数・信託報酬)
- myINDEX「投資のデータ集:過去20年の投資結果」(長期積立の過去実績)
※手数料比較の試算(30年で約140万円差)は、100万円を年率5%で30年運用し、信託報酬0.1%と1.5%を差し引いた場合の複利計算による概算です。
※月10万円積立の試算(30年で約1,260万円差)は、毎月10万円を30年間(360ヶ月)積み立て、運用利回り(手数料控除前)を年5%、信託報酬をそれぞれ0.1%・1.1%として複利計算した概算です。税金・分配金の扱いは考慮していません。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は元本割れのリスクがあります。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。